
「大切に育てている水草水槽のロタラ。以前はフサフサと美しい葉を茂らせていたのに、最近なんだか葉が小さくなってきた…」
「新しく植えたロタラが、ひょろひょろと育って葉が萎縮している気がする…」
アクアリウムで人気の水草「ロタラ」を育てていると、このような悩みに直面することがあります。葉が小さくなるのは、ロタラが発している「生育環境が合わない」というサインかもしれません。
しかし、ご安心ください。原因を正しく突き止め、一つひとつ丁寧に対処すれば、ロタラは本来の美しい姿を取り戻してくれます。
この記事では、ロタラの葉が小さくなる主な原因を7つのチェック項目に分け、それぞれの具体的な対策を分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの水槽のロタラを復活させるためのヒントがきっと見つかるはずです。
ロタラの葉が小さくなる主な原因
ロタラの葉が小さくなったり、萎縮したりする根本的な原因は、多くの場合「成長に必要な要素のバランスが崩れている」ことにあります。
水草が健康に育つためには、人間と同じように適切な環境と栄養が必要です。特に重要なのが、以下の3つの要素です。
- 光: 光合成を行うためのエネルギー源
- CO2(二酸化炭素): 光合成の材料となり、水草の骨格を作る炭素の供給源
- 栄養素: 成長を支えるための肥料分(窒素、リン、カリウム、鉄分など)
これらのうち、どれか一つが不足したり、逆に過剰になったりすると、成長のバランスが崩れて葉が小さくなるなどの不調が現れます。
これから、ご自身の水槽環境と照らし合わせながら、原因を特定していきましょう。
【原因別】ロタラの葉を小さくする7つのチェックリストと対策

ここでは、具体的な原因と対策を7つのチェック項目にまとめました。ご自身の水槽で当てはまるものがないか、確認してみてください。
チェック1:光量不足

水槽の底の方や、他の水草の影になっているロタラの下葉が小さくなったり、枯れたりしていませんか?その場合、光量不足が原因である可能性が高いです。
- 原因:
- 照明器具の光が弱い、または水槽のサイズに合っていない。
- 照明の点灯時間が短い(6時間未満など)。
- 他の水草が茂りすぎて、ロタラに光が当たるのを妨げている。
- 対策:
- 照明の見直し: 水草育成用のLEDライトなど、十分な光量を持つ照明器具への交換を検討しましょう。
- 点灯時間の調整: 1日6〜8時間を目安に、タイマーを使って規則正しく点灯させます。長すぎるとコケの原因になるため注意が必要です。
- トリミング: 光を遮っている他の水草や、茂りすぎたロタラの上部をトリミング(カット)して、下の方まで光が届くようにしてあげましょう。
チェック2:CO2(二酸化炭素)不足

特に、成長の早い有茎草であるロタラを密生させて美しく育てるには、CO2の添加が非常に効果的です。これが不足すると、成長が鈍化し、葉が小さく、色褪せる原因になります。
- 原因:
- CO2を添加していない。
- CO2の添加量が足りていない。
- 水流が弱く、CO2が水槽全体に行き渡っていない。
- 対策:
- CO2添加の導入: まだ導入していない場合は、発酵式や小型ボンベ式などのCO2添加システムを検討してみましょう。劇的な変化が期待できます。
- 添加量の調整: CO2ドロップチェッカーを使い、液体の色が緑色になるように添加量を調整します。青色なら不足、黄色なら過剰です。
- 水流の改善: フィルターの排水口の向きを調整したり、サーキュレーターを設置したりして、CO2が水槽の隅々まで行き渡るような緩やかな水流を作りましょう。
チェック3:栄養素の不足(特に窒素・リン・カリウム)

水草も植物なので、成長には肥料が必要です。特にロタラのように成長が早い水草は、栄養の消費も早いため、不足しがちです。
- 原因:
- 底床(ソイルなど)に含まれる栄養分が、時間の経過とともに枯渇している。
- 水換えによって、水中の栄養分が失われている。
- 特に、窒素(N)が不足すると、全体的に萎縮して葉が小さくなる傾向があります。また、カリウム(K)は水草の成長全般を支える重要な栄養素です。
- 対策:
- 追肥を行う: 底床に差し込むタイプの固形肥料を定期的に追肥しましょう。
- 液体肥料の活用: カリウムや鉄分、微量元素を含む液体肥料を、水換え後などに定期的に添加するのが効果的です。製品の規定量を守って使用してください。
チェック4:栄養素の過多
意外かもしれませんが、肥料の与えすぎも問題を引き起こします。特定の栄養素が過剰になると、他の栄養素の吸収を阻害してしまい、結果的に栄養バランスが崩れてしまいます。
- 原因:
- 液体肥料や固形肥料を規定量以上に使用している。
- 魚の数が多く、餌の量も多いため、排泄物による富栄養化が進んでいる。
- 対策:
- 定期的な水換え: 過剰な栄養分を排出するために、週に1回、3分の1程度の水換えを基本としましょう。
- 肥料の量を見直す: コケが大量に発生している場合は、栄養過多のサインかもしれません。肥料の添加を一時的に止めたり、量を減らしたりして様子を見ましょう。
チェック5:水温が高すぎる・低すぎる
ロタラには快適に成長できる水温の範囲があります。この範囲を大きく外れると、成長が著しく鈍化し、葉が小さくなったり、溶けてしまったりすることがあります。
- 原因:
- 夏場の高水温(30℃を超えるなど)
- 冬場の低水温(20℃を下回るなど)
- 対策:
- 高水温対策: 水槽用の冷却ファンや、本格的なクーラーを設置して水温上昇を防ぎます。
- 低水温対策: オートヒーターを設置し、ロタラの適水温である22〜28℃程度の範囲で一定に保ちましょう。
チェック6:水質の急変・悪化
水質の急激な変化は、水草にとっても大きなストレスです。また、ろ過がうまく機能していないと、水中に有害物質が溜まり、成長を阻害します。
- 原因:
- 一度に大量の水換えを行うことによる、pHや水温の急変。
- フィルターが汚れている、またはろ過能力が不足している。
- 対策:
- 穏やかな水換え: 水換えは一度に多くても半分程度に留め、カルキ抜きをした水をゆっくりと注ぎましょう。
- フィルターのメンテナンス: フィルターのろ材は、飼育水で軽くすすぐ程度にし、バクテリアを死滅させないように注意しながら定期的に掃除します。
チェック7:トリミングの頻度と方法
健康な状態を維持するために欠かせないトリミングですが、やり方によっては株にダメージを与え、成長を妨げる原因にもなります。
- 原因:
- あまりに頻繁にトリミングを行い、株が回復する時間を与えていない。
- 何度も同じ場所で差し戻し(カットした上部を植え直すこと)を繰り返し、根元の株が疲弊している。
- 対策:
- 適切な頻度で: トリミングは、水草が茂りすぎて光を遮るようになったタイミングで行います。
- 時にはリセットも: 何度も差し戻しを行って下葉がなくなったり、茎ばかりが目立つようになったりした場合は、一度すべて抜き、健康な上部だけを植え直す「リセット」を行うと、再び美しい茂みを作ることができます。
【応用編】もっと美しく!健康なロタラを維持するコツ

原因への対策が済んだら、さらに一歩進んで、ロタラをより美しく健康に育てるためのコツも押さえておきましょう。
- 適切な水流の確保: よどんだ水域は栄養やCO2が届きにくくなります。フィルターからの排水などを利用して、水槽全体に緩やかな水流ができるように意識すると、ロタラの隅々まで必要な要素が行き渡りやすくなります。
- 定期的なメンテナンスの習慣化: 「週に1回の水換え」「月に1回のフィルターチェック」「伸びてきたらトリミング」といったように、メンテナンスを習慣にすることで、水槽環境を安定させ、トラブルを未然に防ぐことができます。
- 種類の特性を理解する: ロタラには「ロタラ・ロトンディフォリア」や「グリーンロタラ」「ロタラsp. Hra」など、様々な種類があります。赤系は鉄分を要求するなど、種類によって若干性質が異なります。自分の育てているロタラの種類を調べて、その特性に合った環境を整えてあげると、より美しさを引き出せます。
【まとめ】原因を見つけて、美しいロタラを取り戻そう
今回は、ロタラの葉が小さくなる原因と、その対策について詳しく解説しました。
ロタラの葉が小さくなるのは、多くの場合「光・CO2・栄養」のバランスが崩れたサインです。
慌てずに、この記事で紹介した7つのチェック項目を参考に、ご自身の水槽環境を一つひとつ見直してみてください。原因を特定し、適切な対策を講じれば、あなたのロタラはきっと本来の生き生きとした美しい姿を取り戻してくれるはずです。
諦めずに愛情を込めてメンテナンスを行い、美しいロタラが揺らぐ水景を楽しみましょう。



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