
「よし、憧れのパールグラスの絨毯を作るぞ!」と意気込んで植えたのに、数日後にはプカプカと浮いてきて剥がれてしまった…。そんな悲しい経験はありませんか?
パールグラスが剥がれてしまうのには、実はいくつかの明確な原因があります。しかし、ご安心ください。原因さえ分かれば、対策は決して難しくありません。
この記事では、アクアリウムでパールグラスの絨毯を目指す多くの方が直面する「剥がれ」の問題に焦点を当て、その原因から具体的な対処法、そして二度と剥がさないための予防策まで、体系的に詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読めば、あなたの水槽のパールグラスがなぜ剥がれるのかが明確になり、美しい緑の絨毯を維持するための具体的なステップを理解できるはずです。
パールグラスが剥がれる主な5つの原因

パールグラスがソイル(底床)から剥がれてしまう現象には、主に5つの原因が考えられます。ご自身の水槽環境と照らし合わせながら、原因を探ってみましょう。
原因1:植え方が浅すぎる
最もよくある原因が、植え方が浅いことです。パールグラスは根が非常に細く短いため、植え方が浅いとソイルにしっかりと定着する前に、わずかな水流や生体の動きで簡単に抜けてしまいます。特に植栽初期は、根がまだ張っていないため注意が必要です。
原因2:根張りが不十分
パールグラスが健康に育っていないと、そもそも根がしっかりと伸びず、ソイルを掴む力が弱くなります。光量不足、CO2不足、栄養不足などが原因で成長が阻害されると、根張りも不十分になり、結果として剥がれやすくなります。
原因3:水流が強すぎる
フィルターの排水口からの水流が、植えたパールグラスに直接当たっていませんか? 特に前景草として植えることの多いパールグラスにとって、強すぎる水流は根が定着するのを妨げ、剥がれを引き起こす大きな原因となります。
原因4:魚やエビによる掘り返し
コリドラスやドジョウのような底床を掘り返す習性のある魚や、ツマツマと底をつつく行動をするヤマトヌマエビなどの生体が、植えたばかりのパールグラスを抜いてしまうことがあります。これは生体の習性なので仕方がありませんが、対策は可能です。
原因5:コケによる浮力
パールグラスの葉や茎に特に藍藻(シアノバクテリア)などの気泡を多く含むコケが発生すると、そのコケが生み出す浮力によってパールグラス全体が持ち上げられ、剥がれてしまうことがあります。水槽の富栄養化などが原因でコケが発生しやすくなっている場合に起こりがちです。
剥がれてしまったパールグラスの直し方

原因がわかったところで、次に今まさに剥がれてしまったパールグラスをどうすればよいのか、具体的な対処法を見ていきましょう。
小規模な剥がれの場合:ピンセットで差し戻す
数本が抜けて浮いている、あるいは一部がめくれている程度の小規模な剥がれであれば、アクアリウム用のピンセットを使って丁寧に元の場所に差し戻しましょう。この時、少し深めに、そして周りのソイルを寄せて軽く押さえるように植えるのがコツです。
広範囲で剥がれた場合:一度取り出して植え直す
絨毯のように広範囲でベロンと剥がれてしまった場合は、無理に元に戻そうとせず、一度すべて取り出してしまいましょう。そして、バラバラになったパールグラスを数本ずつの束にして、改めて丁寧に植え直すのが最も確実で、その後の成長も安定します。手間はかかりますが、急がば回れです。
浮いてしまった葉の活用法
完全に浮いてしまったパールグラスも、捨ててはいけません。元気な部分であれば、そのまま水面に浮かせておくだけで、節から新しい根や脇芽が出てくることがあります。この時、水面に完全に浮かせるだけでなく、軽い石で低床近くに固定したり、網で囲って光がしっかり当たるように工夫したりすると、より効率的に根を伸ばすことができます。ある程度根が伸びてきたら、それを再びソイルに植えることで、無駄なく増やすことが可能です。
パールグラスを剥がれにくくする予防策

一度剥がれると修正が大変なパールグラス。ここからは、そもそも剥がれさせないための重要な予防策をご紹介します。
植栽時のコツ:深く、丁寧に植える
基本中の基本ですが、これが最も重要です。
- 数本を1セットにする: 1本ずつ植えるのではなく、5〜10本程度の小さな束にしてから植えると、ソイルに埋まる部分の体積が増え、抜けにくくなります。
- 斜めに深く植える: ピンセットでパールグラスの束を掴み、ソイルに対して少し斜めに、かつ深く差し込みます。その後、ピンセットを抜く際に、パールグラスが抜けてこないようにソイルをならすのがポイントです。
- ソイルを少し湿らせておく: パウダータイプのソイルなど、乾いていると崩れやすい場合は、植える前に霧吹きなどで軽く湿らせておくと作業がしやすくなります。
根張りを促進させる環境作り
丈夫な根を育てることが、剥がれない絨毯への近道です。以下の3つの要素を見直してみましょう。
- 適切な光量: パールグラスは強い光を好みます。光量が不足すると上にばかり伸びる「徒長」を起こし、根張りが悪くなります。水槽のサイズに合った十分な光量のLEDライトを用意しましょう。
- CO2の添加: 美しい絨毯を作る上で、CO2の添加はほぼ必須と言えます。CO2を添加することで光合成が活発になり、成長スピードが格段に上がって根張りも促進されます。
- 肥料(特にカリウム): 液体肥料、特に水草の根や茎を丈夫にする「カリウム」を定期的に添加することが非常に効果的です。窒素やリンはコケの原因になりやすいため、まずはカリウム主体の肥料から試してみるのがおすすめです。バランスの取れた成長のためには、カリウムの他に鉄分などの微量元素も重要ですが、初期段階ではカリウムから様子を見るのが良いでしょう。
水流の調整方法
フィルターからの排水は、リリィパイプなどを使って水流を和らげるか、排水の向きをガラス面に当てるなどして、パールグラスに直接当たらないように工夫しましょう。植栽初期は、一時的にフィルターの水量を弱めるのも有効な手段です。
生体との相性を考える
コリドラスなどの底棲魚を飼育している場合は、パールグラスの根が十分に張るまで(植栽後2〜3週間)は、一時的に別の水槽に移すか、セパレーターで区切るなどの対策が考えられます。根がしっかり張ってしまえば、多少つつかれても抜けにくくなります。
まとめ
今回は、パールグラスが剥がれてしまう原因と、その具体的な対策について詳しく解説しました。
- 剥がれる主な原因は「浅い植え方」「根張り不足」「強すぎる水流」など。
- 剥がれたら焦らず、ピンセットで丁寧に差し戻すか、思い切って植え直す。
- 予防策として「深く植える」「成長環境を整える」「水流を調整する」ことが何より重要。
パールグラスが剥がれるのは、決してあなたの管理が悪いわけではなく、多くの人が通る道です。この記事で紹介したポイントを一つずつ実践すれば、きっとあなたの水槽にも美しい緑の絨毯が広がるはずです。諦めずに、ぜひ再挑戦してみてください。



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