
「え、ベタって飛び出すの?」
美しいヒレを優雅に揺らし、単独飼育できることからアクアリウム初心者にも人気のベタ。しかし、その美しい姿からは想像しにくいですが、ベタは意外にも水槽からの飛び出し事故が多い魚です。
朝起きたら、愛魚の姿が水槽になく、床で干からびてしまっていた…そんな悲しい事故を防ぐために、最も確実で効果的なのが「蓋をすること」です。
市販の蓋もありますが、「水槽のサイズに合わない」「価格がちょっと…」と感じることも少なくありません。
そこでこの記事では、誰でも安価で簡単にできる「ベタの飛び出し防止用の蓋」の自作方法を、具体的な手順とポイントを交えて徹底解説します。この記事を読めば、あなたも大切なベタのための安全な住まいを手作りできるようになります。
なぜベタは飛び出すの?知っておきたい3つの理由
そもそも、なぜベタは水槽から飛び出してしまうのでしょうか。その理由は主に3つ考えられます。
- 水質の悪化や環境ストレス
水が汚れていたり、水温が急激に変化したりすると、ベタは不快に感じ、その環境から逃げ出そうとしてジャンプすることがあります。人間でいう「住環境が悪くて引っ越したい」という気持ちに近いのかもしれません。 - 好奇心や縄張り意識
ベタは好奇心旺盛な魚です。水槽の外の光や動きに興味を引かれたり、水面に近づいてきた虫を捕まえようとしたりして、勢い余って飛び出してしまうことがあります。また、水面に映る自分の姿をライバルと勘違いして攻撃しようとジャンプすることもあります。 - 求愛行動や興奮
オスのベタは、繁殖期になるとメスへのアピールや、他のオスを威嚇するためにジャンプすることがあります。フレアリング(ヒレを大きく広げる威嚇行動)で興奮した際にも、飛び出すリスクは高まります。
このように、ベタのジャンプは特別なことではなく、日常的に起こりうる行動です。だからこそ、物理的に飛び出しを防ぐ「蓋」の設置が非常に重要になるのです。
飛び出し防止は蓋が基本!市販品と自作のメリット・デメリット
ベタの飛び出し防止には蓋が不可欠ですが、市販品と自作品にはそれぞれメリット・デメリットがあります。ご自身の環境や考え方に合わせて選びましょう。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 市販品 | ・水槽メーカーの製品ならピッタリ合う ・デザイン性が高く、見た目がきれい ・購入すればすぐに使える | ・特殊なサイズや小型水槽に合うものが見つけにくい ・比較的価格が高い ・通気性が確保されていない製品もある |
| 自作品 | ・どんな水槽サイズにもピッタリ合わせられる ・材料費を安く抑えられる(100円ショップで揃う) ・通気性や餌やり穴など自由に設計できる | ・作成に手間と時間がかかる ・見た目(見栄え)は工夫次第になる ・作り方によっては強度や安全性に欠ける場合がある |
「コストを抑えたい」「特殊な形の水槽を使っている」「自分で作るのが好き」という方には、自作の蓋が断然おすすめです。
【初心者でも簡単】100均グッズで作る!ベタの飛び出し防止蓋の作り方

ここからは、この記事のメインテーマである自作蓋の作り方を解説します。今回は、100円ショップで手軽に揃う材料を使った、最もポピュラーな方法をご紹介します。
準備するもの
- メイン材料(いずれか1つ)
- ワイヤーネット/バーベキュー網: 加工がしやすく丈夫。錆びにくいように塗装・コーティングされているものがおすすめです。
- 鉢底ネット: プラスチック製で錆びる心配がなく、ハサミで簡単に切れます。柔らかいので加工しやすい反面、大きな水槽には強度が不足する場合があります。
- プラスチックダンボール(プラダン): 軽くて加工しやすい素材。透明なものを選べば照明を遮りません。ただし、通気性のための穴あけが必須です。
- 道具
- ニッパー: ワイヤーネットやバーベキュー網を切断する際に使用します。
- 結束バンド: 複数のネットを繋ぎ合わせる際に便利です。
- ハサミ/カッター: 鉢底ネットやプラダンをカットする際に使用します。
- メジャー/定規: 水槽のサイズを正確に測るために必須です。
作り方の手順

Step 1: 水槽のサイズを正確に測る
まず、蓋を設置したい水槽のフチの内側、または外側のサイズを正確に測ります。内側にきっちり収めるか、フチに乗せるように少し大きめに作るかを決めましょう。フチに乗せる方が安定しやすく、初心者にはおすすめです。
Step 2: 材料をカットする
測定したサイズに合わせて、ワイヤーネットや鉢底ネットなどのメイン材料をカットします。
- ワイヤーネットの場合: ニッパーを使って、少しずつ切断していきます。切断面が鋭くなるので、怪我に注意してください。
- 鉢底ネットの場合: ハサミで簡単に切ることができます。
Step 3: 角の処理と切り込みを入れる
カットしたネットの切断面は、ヤスリで削ったり、ビニールテープを巻いたりして滑らかにしておきましょう。ベタや飼い主が怪我をするのを防ぐための重要な工程です。 また、ヒーターやフィルターのコードを通す必要がある場合は、その部分に切り込みを入れておきます。
Step 4: 餌やり用の穴を開ける(任意)
毎日蓋をすべて開け閉めするのが面倒な場合は、餌やり用の小さな穴を開けておくと便利です。指が入るくらいの小さな四角や丸を切り抜いておきましょう。開閉式の小さなフタを付けると、さらに使いやすくなります。
これで完成です!実際に水槽に設置してみて、隙間が大きすぎないか、ガタつきがないかなどを最終確認してください。
自作蓋で失敗しないためのQ&A

自作する上でよくある疑問点についてお答えします。
Q1. 蓋をすると、通気性が悪くなりませんか?
A. ワイヤーネットや鉢底ネットのように、網目状の材料を使えば通気性は十分に確保できます。プラスチックダンボールのように全面を覆う素材を使う場合は、ドリルやキリなどで空気穴を複数開けることを忘れないでください。ベタはラビリンス器官という空気呼吸するための器官を持っているので、水面の空気は新鮮に保つ必要があります。
Q2. 照明の光を遮ってしまいませんか?
A. 網目の細かい黒いネットなどは、多少光を遮ることがあります。光量が気になる水草水槽などの場合は、目が粗いものを選ぶか、透明な鉢底ネットやプラダンを使用するのがおすすめです。
Q3. 見た目をもっとおしゃれにする方法はありますか?
A. ネットの色を水槽のフチや部屋のインテリアに合わせて黒や白、クリアカラーで統一すると、スッキリとした印象になります。また、DIY上級者であれば、木枠を作って内側にネットを張ると、市販品のような高級感を出すことも可能です。
Q4. ネットが錆びて水質に影響しないか心配です。
A. その心配は非常に重要です。金属製の網を使う場合は、必ずステンレス製やビニールでコーティングされた、錆に強い製品を選んでください。少しでも錆が出てきたら、すぐに交換しましょう。その点、プラスチック製の鉢底ネットやプラダンは錆の心配がなく、最も安心して使用できます。
【まとめ】ひと手間で守れる、大切な命
今回は、ベタの飛び出し事故を防ぐための自作蓋について詳しく解説しました。
- ベタはストレスや好奇心など、様々な理由でジャンプする
- 飛び出し防止には、水槽に蓋をするのが最も確実
- 自作の蓋は、100均グッズでどんな水槽にも安くフィットさせられる
- 作成時は「隙間の大きさ」「素材の安全性」「通気性」に注意する
市販品にはないフィット感と自由度、そして何よりコストパフォーマンスの高さが自作蓋の魅力です。少しの手間をかけるだけで、愛するベタの命を守ることができます。ぜひ、この記事を参考に、あなたのベタにぴったりの「安心できる家」を作ってあげてください。



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